請求書の再発行を求められた場合の対応方法とは。注意点やリスクを解説
請求書は、取引先に商品やサービスを提供した対価について支払いを求める書類です。
また、請求書は取引の金額や内容を示す証憑書類でもあるため、請求書の発行は慎重に行う必要があります。
しかしながら、取引先から請求書の再発行を求められるケースなど、何らかの事情によって請求書の再発行が必要になることがあります。
その場合、取引内容の証明にあたる請求書を再発行しても法的または実務的な問題が発生しないかと悩むケースもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、請求書の再発行が必要なケースや再発行を依頼された際の対応方法、再発行時の注意点などについて詳しく解説します。

01請求書は再発行しても問題ない?
まず、取引先から請求書の再発行を依頼された場合に気になるのは、再発行の行為自体に問題はないかという点でしょう。
請求書の再発行は可能
結論からいえば、請求書の再発行をすること自体に法的な問題が生じることはありません。請求書がなければ、入金を促すことができないため、依頼に応じて請求書を再発行しましょう。
ただし、請求書は、単に取引先に支払いを促すためだけの書類ではない点に注意しなければなりません。取引の事実や内容、金額を明らかにする証憑としての役割もあります。そのため、法人税法では請求書は原則として7年間保存する義務があるとしており、法人は請求書を7年間(欠損金の繰越控除を適用する場合は10年間)保管しなければなりません。また、所得税法においても、個人事業主に対し、原則として5年間の請求書の保存義務を定めています。ただし、個人事業主でも消費税の課税事業者の場合は、保存すべき期間は5年間ではなく、法人と同じ7年間となります。
つまり、請求書の再発行を求められた場合、取引先では支払いに必要な金額や振込口座情報を確認できないという問題だけでなく、法令で定められている請求書の保存義務要件を満たせないという問題にも直面しているのです。したがって、この点から考えても、取引先から要望を受けた際には、請求書の再発行に応じて問題ありません。
また、取引先からの要望ではなく、自社の事情から請求書の再発行が必要になるケースも考えられます。その場合であっても、請求書を再発行は可能です。ただし、取引先には再度請求書を発行する事情について説明し、先に送付した請求書の破棄を依頼するなど、相手方からの理解を十分に得る必要があります。
再発行にはリスクも
請求書を再発行するという行為には問題はありません。しかしながら、一度発行した請求書を再度発行すると、請求書が2枚存在することとなり、二重請求や二重支払いのリスクが生じるおそれがあります。また、請求書を複数発行することとなるため、悪質な例では再発行した請求書が経費の水増し等に利用される可能性も否定はできません。
そのほか、請求書を再発行した理由が不明瞭な場合、請求書の再発行による不正が疑われ、税務調査時には、なぜ請求書が再発行されているのか、調査官から指摘を受ける可能性もあるでしょう。したがって、請求書の再発行時には、再発行の理由や前回請求書との関係性を明確にしておくなどの対策が必要になります。
02請求書の再発行が必要になるのはどんなとき?
請求書の再発行が必要になるケースとしては、取引先から依頼を受けたケースのほか、自社内の事情によって再発行が必要になるケースも出てくると考えられます。ここでは、請求書の再発行が必要になる主なケースや対処法などについて解説します。
取引先から依頼されたとき
まず、請求書の再発行が必要になるケースとしては、取引先からの依頼によるものが考えられます。ただし、取引先からの依頼理由はさまざまであり、依頼理由によって対応は変わります。以下にケースごとの対処法をご紹介します。
取引先が請求書を紛失した場合
入金前に取引先が請求書を紛失した場合、入金に関する情報が分からないため、請求書の再発行に応じなければ、代金の回収ができません。したがって、紛失に伴う依頼を受けた場合には取引の内容を確認した上で、対象の請求書を早急に再発行するようにしましょう。
取引先から支払い方法の変更を依頼されたとき
取引先から支払い方法や期日を変更した上で請求書の再発行を依頼される場合もあるかもしれません。支払い方法や支払期日の変更は契約内容の変更にもあたるため、契約内容の変更について協議をした上で、覚書などを交わした後に再発行をする必要があります。
請求金額などのミスを指摘された場合
請求書発行後に取引先から請求書に記載されていた金額の違いなどについて指摘を受けるケースもないとは限りません。万が一、請求内容の間違いを指摘された場合は、該当の契約書や取引内容と発行済み請求書の控えを確認し、誤りが見られた場合には、不備があった箇所を修正して、早急に再発行しなければなりません。
発行側のミスによって取引先に不要な手間をかけさせることになるため、不手際について十分に謝罪をし、誠実に対応するようにしましょう。
自社の理由から再発行が必要になったとき
請求書送付後に単価や消費税計算、商品名などの記載ミスに気がついた場合なども、請求書の再発行をしなければなりません。自社の理由によって再発行が必要になった場合は、早急に取引先に連絡しておわびするとともに、先に送付した請求書を破棄してもらうように伝え、二重請求を防ぐ必要があります。
03請求書を再発行する際の注意点
請求書を再発行すると、二重請求や二重支払いなどのトラブルを招くおそれがあります。トラブル回避のため請求書の再発行時に注意すべき点を4つご紹介します。
発行日は初回発行日と同じ日付にする
再発行時に悩みやすいのが、発行日をいつに設定すればよいのかという点です。請求書再発行時の発行日については、先に発行した元の請求書と同じ日付にするケースが一般的です。元の請求書の発行日だけでなく、請求書を再発行した日付を記載したい場合には、備考などに再発行の日付を記載するとよいでしょう。
再発行であることを明確に記す
請求書を再発行した場合、1つの取引に対して2枚の請求書が存在する事態となります。そのため、二重の振込などを防止するため、再発行した請求書には、再発行であることを明確に記すことが重要です。
また、備考欄には再発行に至った理由について記載しておくと、税務調査の際にも事情を説明しやすくなります。
前回と同じ管理番号を記載する
請求書を管理番号で管理している場合は、前回と同じ番号を記載します。再発行だからといって新たに番号を取得すると、再発行であることが分かりにくくなるため、枝番を付けるなどして元の請求書と区別をすることが大切です。
ただし、請求書の管理番号を枝番にしただけでは取引先に対して、再発行した書類であることを伝えにくいため、枝番以外にも再発行であることを分かりやすく記載しておくようにしましょう。
支払期日を超過した場合の対応
支払期日が過ぎても入金がされず、やむを得ず請求書の再発行をする場合もあるかもしれません。契約によっては、期日までに支払いが行われない場合の遅延損害などについての条項を定めているケースもあります。支払期日が過ぎてからの再発行依頼については取引先との契約内容を確認した上で、適切に対応しなければなりません。
また、支払期日を超過してから請求書を再発行する場合でも、支払期日は変更せず、当初の請求書と同じ日付を記載しておきます。その際、新たな支払期日については、別紙を添え、別紙の中で期日を示すケースが一般的です。
04請求書再発行の流れ
では、実際に請求書の再発行をする際には、どのような手順で手続きを進めればよいのでしょうか。請求書の再発行の手順をご紹介します。
対象の請求書の内容を確認する
請求書の再発行時にまずすべきことは、対象の請求書に関する取引内容などを確認することです。請求先や取引内容、単価、数量、請求金額などに間違いがないことを確認した上で、請求書を作成します。
また、請求書には再発行である旨を明記し、備考欄などには再発行の理由についても記載しておくようにしましょう。
初回発行時の日付で再発行をする
請求書が完成したら、初回発行時と同じ日付で請求書を再発行します。また、二重請求を防ぐために、請求書の管理番号にも枝番を追加し、請求書の再発行を把握できるような状態にしておくことが大切です。さらに、支払期日が過ぎてしまっている場合は、別添の用紙に新たな支払期限を明記し、支払いを促すことも忘れないようにしましょう。
請求書を送付する
請求書を送付する際には、請求書を再発行する旨と、発行済みの初回の請求書が手元にある場合には、破棄をしてほしい旨を伝えるカバーレターを同封します。メールで送付する際にはメール本文に再発行の旨を記載するようにしましょう。
また、自社の不手際で再発行が必要になった場合は、謝罪のメッセージを添えることも忘れてはいけません。
05電子帳簿保存法とインボイス制度に伴う請求書再発行の注意点
電子帳簿保存法が改正され、請求書についての保存ルールも変更となっています。請求書を発行する際には、電子帳簿保存法のルールも遵守するよう気をつけなければなりません。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、これまで紙で保存することが義務づけられていた帳簿や請求書、領収書などの書類について、電子データでの保存を認める法律です。
電子帳簿保存法には以下の3つの柱があります。
・電子取引データの保存
・電子帳簿等保存
・スキャナ保存
電子帳簿保存法は2022年1月に改正され、猶予期間を経た2024年1月からは、電子データでの取引については紙ではなく、電子データとして保存することが完全義務化されています。
また、電子帳簿等保存とは、パソコンで作成した帳簿や決算書などをデータとして保存すること、スキャナ保存とは紙で受け取った書類をスキャナで読み取り、データで保存することです。電子帳簿等保存とスキャナ保存については、現状では任意の対応であり、義務化はされていません。
電子帳簿保存法における請求書再発行の注意点
昨今では請求書の作成や発行に請求書発行システムを利用するケースが増えています。請求書発行システムを介して請求書を電子データで発行する場合には、取引先において繰り返しダウンロードができるため、紛失による再発行を依頼されるケースは減っていくと考えられます。
ただし、金額の記載ミスなどによって請求書を修正しなければならない場合などには、再発行が必要です。その際には、タイムスタンプの付与または修正や削除の履歴が残るシステムなどを使って、再発行をする必要があります。また、再発行後のデータを保存するだけでなく、修正前のデータについても電子的に保存しておかなければならない点に注意が必要です。加えて、検索機能の確保にも対応できるよう、ファイル名にも再発行である旨などを加えておくことを忘れないようにしましょう。
インボイス制度とは
インボイス制度とは2023年10月からスタートした、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除に関する制度です。消費税の課税事業者は、商品やサービスの提供時に顧客から預かった消費税から、仕入や経費にかかった消費税を差し引いた額を納税します。この制度を仕入税額控除といいます。
インボイス制度の開始前には、消費税の免税事業者からの仕入であっても、消費税の仕入税額控除を適用できました。しかし、インボイス制度の開始によって、仕入税額控除を適用させるためには、適格請求書発行事業者が発行する適格請求書の保存が必須となりました。適格請求書は、適用した税率や税率ごとの消費税額、適格請求書発行事業者登録番号など、指定の項目を記載したものでなければなりません。
インボイス制度における請求書再発行の注意点
インボイス制度においては、適格請求書に何らかのミスが見つかった場合は、正しく修正した適格請求書を発行することが義務づけられています。
修正する際は、修正したものであることが分かるように明記した上で修正箇所を正しく記載した適格請求書を再発行するか、当初発行した適格請求書との関連性を明らかにした上で、修正した日や修正箇所、修正理由などを記載した書類を交付しなければなりません。
さらに、適格請求書発行事業者は、修正して再発行した適格請求書だけでなく、当初発行した適格請求書の写しについても保存が義務づけられている点に注意しなければなりません。
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請求書を発行する際には、取引データや契約内容に基づき、日付や金額などを細かく確認するなど、手間と時間がかかります。また、請求書を再発行する際にも、再発行であることを明記し、管理番号の枝番を取得するなどの手間が必要です。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度のルールも遵守しなければならない点も大きな負担となります。
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06まとめ
取引先から請求書の再発行を求められた場合には、再発行に応じて問題ありません。また、自社側にミスがあり、請求書の修正が必要な場合にも正しい内容に修正した上で請求書を再発行するようにしましょう。
ただし、請求書の再発行にあたっては注意しなければならない点もあります。なぜなら、請求書の再発行をすることで、二重請求や二重支払いなどのトラブルを招くおそれがあるからです。再発行時には、必ず再発行であることが分かる旨を明記し、支払期日を過ぎている場合には契約内容を確認してから再発行をするようにしましょう。また、電子帳簿保存法やインボイス制度のルールにものっとり、適切に対応することが大切です。 請求書の支払いや発行業務の効率化をご検討の際には、クロスチェックにお問い合わせください。
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