自動車税の勘定科目は?仕訳方法や経費処理の注意点を解説
運送業や旅客業、引っ越し業者など、事業に自動車を利用する業種もありますが、
このほかにも営業や移動、サービスの提供などに自動車を利用する業種も多くあります。
自動車を維持するためにはさまざまな費用が発生しますが、自動車税もその一つです。
ただし、事業のために使用している自動車であれば、自動車税は経費として扱えます。
では、自動車税の仕訳をする際には、どの勘定科目を使用するとよいのでしょうか。
今回は、自動車税の勘定科目の選び方や経費処理をする際の注意点などについて解説します。

01自動車税とは?
まずは、自動車税の課税対象者や税額から確認していきましょう。
自動車税は自動車の所有者に課される税金
自動車税は、自動車の所有者に課される財産税の一つであり、道路を使用する自動車の所有者に対し、道路の整備費などの負担を求めるために課される税金です。
4月1日時点で自動車を所有している人、つまり自動車の登録名義人に納税の義務が生じます。法人名義で自動車を所有している場合は、法人が納税義務者となります。
自動車税は地方税であり、毎年、5月ごろに税額が通知され、5月末までに納税が必要です。また、軽自動車税は市区町村に納付します。
自動車税の額
自動車税の額は、車種区分、排気量、経過年数などによって変わります。乗用車の自動車税の額は以下のとおりです。(2019年10月1日以降に初回新規登録を済ませた自動車の自動車税の額です。)
| 排気量 | 自家用車 | 営業用 |
| 1,000cc以下 | 25,000円 | 7,500円 |
| 1,000cc超1,500cc以下 | 30,500円 | 8,500円 |
| 1,500cc超2,000cc以下 | 36,000円 | 9,500円 |
| 2,000cc超2,500cc以下 | 43,500円 | 13,800円 |
| 2,500cc超3,000cc以下 | 50,000円 | 15,700円 |
| 3,000cc超3,500cc以下 | 57,000円 | 17,900円 |
| 3,500cc超4,000cc以下 | 65,500円 | 20,500円 |
| 4,000cc超4,500cc以下 | 75,500円 | 23,600円 |
| 4,500cc超6,000cc以下 | 87,000円 | 27,200円 |
| 6,000cc超 | 110,000円 | 40,700円 |
| 電気自動車 | 25,000円 | 7,500円 |
事業用の自動車であっても、営業車や自社製品の配送などに使用する場合は自家用に該当し、運賃を得て荷物や人を運ぶ場合には営業用に該当します。
また、自動車税には、環境負荷の小さな自動車には税の負担を軽減し、環境負荷が大きい車には税負担を大きくするグリーン化特例が適用されます。
グリーン化特例により、自動車税の軽減措置を受けられる乗用車は電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車です。環境負荷が小さいこれらの自動車を購入した場合は、翌年度の自動車税が約75%軽減されます。反対に、ガソリン車の場合は13年、ディーゼル車の場合は11年を経過すると15%重課となります。
軽自動車税の税額
軽自動車の場合、排気量によって税額が変わることはありません。2015年4月1日以後に初回新規検査を受けた四輪以上の乗用軽自動車税の税額は、以下のとおりです。
| 車種区分 | 税額 |
| 自家用 | 10,800円 |
| 営業用 | 6,900円 |
軽自動車の場合もグリーン化特例が適用されます。乗用車の場合は、電気自動車、燃料電池車、天然ガス自動車を取得した場合、翌年度の自動車税の負担額が約75%軽減されます。また、13年を経過した場合はおおむね20%重課されることとなります。重課後のそれぞれの税額は、自家用が12,900円、営業用が8,200円です。
自動車税以外の税金
自動車を保有する場合に、負担が必要となる税金は自動車税だけではありません。新車登録の際や車検の際には自動車重量税の納付が必要です。また、自動車を購入した際には自動車税環境性能割の負担が必要でしたが、令和8年度税制改正によって2026年3月31日をもって自動車税(環境性能割)は廃止となっています。
02自動車税に使える勘定科目とは
事業用の自動車にかかる費用は経費として扱うことができるため、自動車税についても経費計上が可能です。自動車税の仕訳に使用する勘定科目は「租税公課」または「車両費」を使用するケースが一般的となっています。
租税公課
租税公課とは、事業に関連して発生する税金や行政サービスの手数料、公共団体に納める会費などに使用する勘定科目です。自動車税のほか、事業に関連する自動車重量税、固定資産税、印紙税、事業税などの税金も租税公課として計上できます。
また、商工会議所や商工会、協同組合、商店会などの会費、組合費、賦課金などにも租税公課の勘定科目を使用できます。
車両費
車両費は、自動車に関する費用について用いる勘定科目です。自動車税のほか、自動車重量税、ガソリン代、車検費用、オイル交換、タイヤ交換、修理代、自動車保険料なども車両費の勘定科目を使い、経費として計上できます。
勘定科目はどう決める?
自動車税の仕訳に使用する勘定科目として、租税公課を使用すべきか、車両費を使用すべきか悩むこともあるでしょう。勘定科目は取引内容を分類するために使用するものであり、何のための支出であるかがはっきりと分かる科目であれば、原則として事業者が自由に設定できるものです。
したがって、税金の負担額をまとめて把握したい場合には、租税公課を使用するとよいでしょう。租税公課の勘定科目を使用することで、税金に関する支出を把握しやすくなります。
一方、自動車の維持にかかる費用をまとめて把握したいときには車両費の勘定科目を選択するとよいでしょう。車両費を使用すると、車検代や自動車保険料、ガソリン代、駐車場代、修理代など、自動車の維持費用を一元的に管理できます。
03自動車税の仕訳で気をつけるべきポイント
自動車税の仕訳をするときは「租税公課」または「車両費」の勘定科目を使用するケースが一般的です。また、何の勘定科目を使用するかは事業者が自由に決定してかまいません。しかしながら、自動車税を仕訳する際には、注意が必要なポイントもあります。ここでは、自動車税の仕訳をする際の4つの注意点をご紹介します。
勘定科目は継続使用が原則
会計ルールには、原則として一度使用した勘定科目を継続して使用しなければならない「継続性の原則」があります。例えば、今年、自動車税に「租税公課」の勘定科目を使用して仕訳をしたにもかかわらず、次年度には「車両費」の勘定科目を使用できません。
使用する勘定科目を頻繁に変更すると、前期との比較ができないため、財務状況を正確に把握できなくなる可能性があります。また、勘定科目を変更することが利益操作につながるおそれも出てきます。これらの理由から、勘定科目の変更は避けなければならないのです。
勘定科目の選択は将来の経営分析にも関わってきます。したがって、使用する勘定科目を決定する際には、その場しのぎで決めるのではなく、将来を見据え、慎重に判断をすることが大切です。
延滞金の経費計上は不可
自動車税は、経費計上が可能です。しかしながら、自動車税の納付が遅れた場合は延滞金が課されます。この延滞金については、経費に計上できません。
自動車税の納付期限は原則として5月31日です。ただし、5月31日が土日に重なる場合は、翌平日が納期限となります。何らかの理由で納税が遅れ、延滞金が課されると、延滞金は損金算入の対象外となるため、延滞金の分だけ課税所得が高くなり、法人税の負担も増加します。
複数台の事業用車を保有しており、それぞれの自動車税の納付が遅れ、延滞金が課された場合は課税所得が大幅に増加する可能性もあります。自動車税は、確実に期限までに納付することが大切です。
自動車税は消費税の対象外
自動車税は、消費税の課税対象外です。不課税取引となるため、仕訳をする際には、課税取引として扱わないよう、会計ソフトの税区分を対象外や不課税に設定して処理しなければなりません。
特に車両費の勘定科目を用いて仕訳をする場合、車両費には車検費用やガソリン代など、課税取引に該当する支出も含まれるため、十分に注意をしましょう。
経費に計上できるのは事業用の自動車にかかる自動車税のみ
事業用の自動車にかかる自動車税については経費として扱うことが認められています。しかしながら、事業に使用していない役員のプライベート用の自動車にかかる自動車税については、当然、経費には計上できません。また、事業とプライベートで同じ自動車を使用している場合は、家事按分割合に基づき、事業の使用割合のみを経費に計上する必要があります。
家事按分とは、プライベートと事業で兼用しているものにかかる費用について、プライベートの使用分と事業用の使用分の割合を算出することです。自動車の家事按分をする場合は、自動車の使用日数や走行距離によって事業用の割合を算出するケースが多くなります。
年間走行距離が10,000kmであり、事業で走行した距離が5,000kmであった場合、家事按分割合は50%となります。したがって、この場合は自動車税の50%相当額を経費に計上が可能です。
また、自動車の使用日数で按分割合を算出できます。週7日のうち、月曜から金曜までの5日間を事業で使用し、土日にはプライベートで使用する場合に経費計上できる額は約71%分です。
いずれの場合も、計算の根拠となる書類を示せるよう、事業で自動車を使用した場合は使用日、走行時間、走行距離、使用目的などを記載した走行記録を保管しておくようにしましょう。
04支払方法別の仕訳例をご紹介
自動車税の仕訳は、納付方法によって変わりますが、勘定科目が違っていても仕訳方法に変わりはありません。また、自動車税を納付した後に自動車を廃車にした場合などは、自動車税が還付されます。還付金についても、自動車税の仕訳に用いた勘定科目を使って記帳しなければならない点に注意が必要です。
ここでは、50,000円の自動車税を租税公課の勘定科目を使って仕訳する場合の仕訳例を支払い方法ごとにご紹介します。
自動車税を現金で納付した場合
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 摘要 |
| 租税公課 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | 自動車税(車体番号) |
現金で納付した場合、借方の勘定科目は「租税公課」、貸方の勘定科目は「現金」と記載します。また、複数の事業用車を保有している場合、複数台分の自動車税をまとめて納付も可能です。
しかし、その場合は、車両ごとのコストを把握できません。そのため、複数台の事業用車を保有している場合は一台ごとに仕訳をし、摘要欄に車体番号(車両ナンバー)を記載するケースが多くなっています。
自動車税をクレジットカードで納付した場合
クレジットカードで自動車税を納付した場合は、納付をした日と口座から引き落としがなされる日が異なる点に注意しなければなりません。そのため、クレジットカード納付時には以下のように2回に分けて計上をする必要があります。
・自動車税の納付時
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 摘要 |
| 租税公課 | 50,000円 | 未払金 | 50,000円 | 自動車税(車体番号) |
・自動車税の引き落とし時
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 摘要 |
| 未払金 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 | 自動車税(車体番号) |
まず、自動車税の納付時には借方の勘定科目を「租税公課」とし、貸方の勘定科目を「未払金」とします。実際に引き落としがあったタイミングで借方を「未払金」とし、貸方に「普通預金」と記載します。
自動車税を口座振替で納付した場合
自動車税を口座振替で納付した場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 摘要 |
| 租税公課 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 | 自動車税(車体番号) |
口座振替の場合、預金口座から引き落とされるため、借方科目には「租税公課」、貸方科目には「普通預金」と記載します。
自動車税の還付金を受け取った場合
還付金を受け取った場合は、還付金の受け取り方法によって仕訳が変わります。
・銀行口座への振込で受け取った場合
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 摘要 |
| 普通預金 | 50,000円 | 租税公課 | 50,000円 | 自動車税(車体番号) |
・現金で受け取った場合
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | 摘要 |
| 現金 | 50,000円 | 租税公課 | 50,000円 | 自動車税(車体番号) |
還付金の仕訳は、税金を支払った場合とは貸方と借方が逆になります。したがって、貸方科目が「租税公課」となり、借方科目は還付金の受け取り方法によって「普通預金」または「現金」を選択します。
05まとめ
事業用に使用している自動車にかかる自動車税は経費として計上できます。経費計上時に使用する勘定科目は、「租税公課」もしくは「車両費」を用いるケースが一般的です。租税公課を使用するか車両費を使用するかは、事業者に一任されており、どちらを使用しても問題ありません。しかしながら、一度使用した勘定科目は継続して使用しなければならないルールがあるため、自社の状況に応じて適切な勘定科目を選択するようにしましょう。 また、自動車税は経費計上が認められていますが、延滞金については経費に計上できません。納付書が届いたら必ず期日までに納付を済ませるようにしましょう。
▶クロスチェックへの無料相談・資料請求はこちら
資料請求フォーム




