01経理アウトソーシングで依頼できる業務
まずは、経理のアウトソーシングの概要から確認していきましょう。
経理のアウトソーシングとは
アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部の専門業者に委託することです。したがって、経理のアウトソーシングは経理業務の外部業者への委託を意味します。経理業務をすべて外部業者に委託もできますが、一部の業務だけの委託も可能です。
現在、業務効率の向上などを目的に経理アウトソーシングを利用する企業は増加傾向にあります。
経理のアウトソーシングで依頼できる業務の例
アウトソーシングできる経理業務の範囲は、代行業者によって変わりますが、一般的には以下のような業務の依頼が可能です。
・記帳業務
・請求書発行
・給与計算
・年末調整
・決算書・申告書の作成
記帳業務
記帳業務は、日々の売上や仕入れ、経費など、取引によるお金の動きを領収書や請求書などの資料をもとに記録する業務です。決算書や申告書の作成に欠かせない業務ですが、会計のルールにのっとり、適切な勘定科目に分類して記帳をする作業には手間がかかります。
請求書発行
納品書や受注データなどをもとに、金額や締め日を確認した上で、請求書を作成し、発行する業務です。請求書の発行後は、入金の確認作業も必要となりますが、締め日に業務が集中するため、担当者の業務負担が大きくなり、金額や単価の記載ミスなども生じやすくなります。
アウトソーシングを依頼すれば担当者の業務負担を減らすだけでなく、ミスも低減できるでしょう。
給与計算
給与計算とは、タイムカードなどの出退勤データをもとに、給与額を計算し、従業員に給与を支給する業務です。給与計算にあたっては、基本給や時間外労働手当などを含めた総支給額を計算した上で、健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険料、所得税、住民税を控除しなければなりません。
残業代や源泉徴収所得税の計算などに専門的な知識が必要となるため、給与計算は人事部門が担当するケースが多いものの、経理のアウトソーシング業者でも給与計算に対応しているケースが多くなっています。
年末調整
給与を支給する際には、所得税の源泉徴収をしますが、徴収している所得税額は概算計算で算出したものです。正しい所得税額については、年間の課税所得額が決定する年末に各種控除などを適用させて計算する必要があります。
年末調整は、徴収した税額の過不足を調整する手続きです。年末調整業務は1年の給与支給額が確定する年末に実施する必要があるため担当者の作業工数が大幅に増加します。年末調整には専門知識が必要ですが、アウトソーシングを活用すれば、担当者の業務負担を軽減し、正確な処理によるスムーズな対応を実現できます。ただし、源泉徴収票の作成や提出、法定調書の提出などの業務を依頼できるのは税理士のみです。
決算書・申告書の作成
決算書や申告書など、税務関連書類の作成業務は税理士のみに認められている独占業務です。そのため、税理士が在籍していない経理アウトソーシング業者では、確定申告書の作成や確定申告書に関わる決算書の作成などを委託はできません。
これらの業務をアウトソーシングしたい場合には、税理士事務所や税理士が在籍する経理アウトソーシング会社を選択する必要があります。
| 業務 | 説明 |
| 記帳・仕訳入力 | 領収書・請求書・取引データをもとに会計システムへ入力する定型業務 |
| 請求書発行・管理 | 請求書作成、送付、発行後の管理など |
| 受取請求書処理 | 請求書の受領、データ化、内容確認、保管など |
| 支払関連業務 | 支払予定の整理、振込データ作成、支払代行など |
| 経費精算 | 従業員から提出された経費の確認・処理 |
| 売掛・買掛管理 | 入金・支払状況の管理や消込など |
| 月次処理の補助 | 月次決算に必要なデータ整理や定型処理 |
02経理アウトソーシングのメリット
経理アウトソーシングを活用する企業が増加している理由の一つは、アウトソーシングによって多くのメリットを得られるからです。ここでは経理アウトソーシングの代表的なメリットを5つご紹介します。
・経理人材の採用問題を解消
・人件費の削減
・コア業務への人材の集中
・人的ミスの防止と精度の向上
・法改正への適切な対応
経理人材の採用問題を解消
少子高齢化により、労働者不足が続く中、経理の知識と実務経験を持つ人材の採用は難易度が増しています。経理担当者が退職した場合、希望に合ったスキルを持つ経理経験者を採用することは難しく、経理担当者の不在期間が生じるケースも少なくありません。
経理経験者の採用が難しいために、とりあえずの補強として未経験者の採用に踏み切った場合、1人で業務を担当できるように教育するには時間がかかります。そのため、経理担当者の退職までの期間中に業務の引継ぎを完了できないおそれもあります。
経理アウトソーシングを利用すれば、経理人材を確保できなくても、経理業務が滞るリスクを大幅に軽減できます。また、採用活動や入社後の教育にはコストがかかりますが、アウトソーシングの活用で採用問題を解消できれば、採用や教育にかかるコストの削減にもつながります。
人件費の削減
請求書の発行や経費精算、支払処理、月次レポートの作成など、経理業務は月末・月初に集中しやすくなります。また、年末調整や法定調書の作成業務が発生する年末も業務が集中しやすい時期です。
従業員の業務負担が大きくなると、残業代の支払いが発生します。また、繁忙期に合わせて正社員を増員すると業務量が落ち着く時期に余剰人員を抱えることとなり、過剰な人件費を負担しなければならない事態となります。経理アウトソーシングを利用すれば、時間外勤務の発生も抑制でき、繁忙期に合わせて正社員を増員する必要もないため、人件費の最適化を図ることが可能です。
コア業務への人材の集中
経理の人材が不足すると、繁忙期にほかの業務の担当者が経理業務をサポートしなければならないといった事態も発生します。他部署からのサポートによって経理担当者の業務負担は軽減されますが、サポート人材が在籍する部署では人的リソースが減少したことによって生産性が低下するおそれがあります。
負担が大きい経理業務をアウトソーシングによって外部に委託すれば、サポートについていた社員も本来の業務に専念させることができるため、利益の向上につながる可能性もあるでしょう。
人的ミスの防止と精度の向上
経理は専門性が高い業務であることから、ブラックボックス化しやすい部門です。特に、担当者が決めた独自ルールによって運用されていると、相互チェック機能が働かないため、ミスや不正などがあった場合でも発覚が遅れてしまいます。
アウトソーシングによって経理業務を専門業者に委託すれば、人的ミスが減り、処理精度が高まり、改ざんや横領などの内部不正も抑制が可能です。
法改正への適切な対応
社会変化に対応することを目的として、毎年税制は改正されています。また、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の開始など、経理関連の法律の改正も多く、社会保険制度も頻繁に改正が行われる分野です。
法改正には適切に対応しなければなりませんが、制度改正が頻繁に行われると改正内容をしっかり把握できず、対応に漏れが生じる可能性もあります。しかし、アウトソーシングを利用すると、業者が最新のルールにのっとった処理を行うため、法改正時の業務負担を軽減するとともに、法律を遵守した対応が可能となります。
03経理アウトソーシングのデメリット
経理アウトソーシングの利用メリットをご紹介しましたが、利用を検討する際にはメリットだけではなく、デメリットがある点も理解しておくことが大切です。
社内に経理ノウハウを蓄積できない
アウトソーシングを利用すると、自社内に経理処理に関するノウハウが蓄積されません。将来、事業規模が大きくなった際に経理の内製化を考えている場合などは、すべての業務を委託するのではなく、一部業務の委託のみを検討したほうが賢明です。
アウトソーシングに費用がかかる
アウトソーシングを利用する場合、業者に支払うコストが発生します。依頼する業務の範囲によっては、現状以上のコストが発生する場合もあるでしょう。
ただし、業者に支払う外注費は人件費とは異なり、社会保険料の負担などは発生しません。また、採用にかかるコストや閑散期の給与負担なども不要になるため、トータルな費用で見るとコストを抑えられる可能性があります。経理アウトソーシングの利用を検討する際には、見積もりを取得するなどして、依頼したい業務とコストのバランスを見極めることが大切です。
リアルタイムで情報を把握できない
外部に経理業務を委託すると、自社内で処理をする場合に比べ、業績の変化の把握に時差が生じるケースもあります。
月次決算の内容など、リアルタイムの会社の業績に合わせてスピーディーに経営判断を下したいと考える場合などは、依頼する業務を見極め、決算などの重要業務は自社で行うなどの選択も検討したほうがよいでしょう。
04経理アウトソーシングの費用はどう決まる?
経理アウトソーシングの費用は、依頼する業務の種類と量によって変わります。単純に「月額料金」だけで比較すると、必要な業務が追加料金になり、結果として想定以上の費用になるケースもあります。
費用を左右する主な項目
| 項目 | 費用が変わる理由 |
| 処理件数 | 請求書・仕訳・領収書等が多いほど作業量が増える |
| 委託範囲 | 入力だけか、確認・支払・保管まで依頼するか |
| 業務の標準化度 | 例外ルールが多いほど確認作業が増える |
| 拠点・部門数 | 承認経路や集計区分が増える |
| システム連携 | 会計ソフト等とのデータ連携・カスタマイズの有無 |
| 初期設計 | 業務整理・ルール設定・移行作業が必要な場合がある |
比較する際は月額料金だけを見るのではなく、「どこまで自社作業がなくなるか」まで含めて判断することが重要です。
経理アウトソーシングの依頼先による費用の違い
依頼先を比較する際は、対応できる業務、専門家の関与、確認や相談の範囲、成果物の内容をそろえて確認することが大切です。同じ「経理代行」という名称でも、料金に含まれる範囲は異なります。追加作業の扱いや自社に残る作業も含め、見積書で比較してください。
05SaaS・BPO・BPaaSの違い
| 比較項目 | SaaS | BPO | BPaaS |
| 提供するもの | ソフトウェア | 業務代行 | SaaS+業務代行 |
| 業務を行う主体 | 自社 | 外部 | 自社+外部 |
| 自動化 | ○ | △ | ○ |
| 人による処理 | 自社 | 外部 | 外部も対応 |
| 例外処理 | 自社 | 委託範囲による | 組み合わせ可能 |
| 社内に残る主な業務 | 運用・確認・判断 | 委託先管理・判断 | 判断・承認 |
| 向いている企業 | ツールを自社運用できる | 業務を丸ごと任せたい | SaaSだけでは業務が残る |
関連解説:BPaaSとは?SaaS・BPOとの違い
06どこまで外部化すべきか
経理アウトソーシングでは、「経理業務を全部外へ出すか、全部自社で行うか」の二択で考える必要はありません。業務を「定型処理」と「判断業務」に分け、定型処理から外部化する方法があります。
請求書の収集、データ入力、帳票作成、支払準備などは比較的標準化しやすい一方、予算判断、資金繰り、経営分析、例外承認などは自社に残す必要があります。
自社の経理担当者が「処理」に時間を使っている場合は、その処理を外部化し、社内では判断や経営管理に時間を使える状態を目指すことが重要です。
関連解説:BPOとアウトソーシングの違い
関連解説:記帳代行とは?経理代行との違い
07請求書支払い代行サービスのすすめ
経理アウトソーシングの利用にはメリットもデメリットもあり、経理アウトソーシングを活用するのであれば、自社のニーズに合った業者を選ぶことが大切です。できるだけコストをかけずに日々の経理業務の負担を軽減したい場合は、すべての業務を委託するのではなく、一部業務のアウトソーシングから始めてみるとよいでしょう。
また、株式会社クロスチェックは、請求書の支払業務を代行するサービス「クロスビリング」を提供しています。各社から請求書を受け取り、期日までに支払いを行う作業も経理担当者に大きな負担をかける業務です。
月末や月初に集中しやすい支払業務をアウトソーシングすれば、経理担当者は月次決算などのコア業務に集中できます。コストを抑えながら業務負担の軽減を実現したい場合は、請求書の支払い代行サービスから利用を検討してみてはいかがでしょうか。
08まとめ
経理アウトソーシングを利用すると、人件費の削減やコア業務へのリソースの集中、人材不足の解消など、さまざまなメリットを得られます。一方で、経理業務をすべてアウトソーシングした場合、コストも高くなり、社内にノウハウが蓄積されないといったデメリットが生じるのも事実です。 初めからすべての業務をアウトソーシングすると、コスト負担も大きくなり、経営判断の遅延といったリスクが生じるおそれもあります。これから経理のアウトソーシングを検討している場合は、まず、高い専門知識は求められていないものの手間がかかる定型業務から委託を始めてみるとよいでしょう。請求書の支払い代行から始める場合は、ぜひ株式会社クロスチェックにお気軽にご相談ください。
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