請求書の保管期間は何年?法人・個人事業主別に徹底解説
請求書の保管期間は法人で原則7年、個人事業主で5年と法律で定められています。ただし、法人が欠損金の繰越控除を適用する場合には10年間の保管が必要です。2024年からは電子取引データの保存が完全義務化され、請求書の適切な管理はこれまで以上に重要性を増しています。 本記事では、請求書の保管期間に関する法的なルールから、具体的な保存方法、電子化への対応まで、最新の法改正情報を踏まえて網羅的に解説します。企業の経理や総務を担当する方はぜひ、参考にしてください。

01請求書保管の基本と重要性
請求書の保管は、法律で定められた企業の義務です。この義務を適切に果たすことは、税務調査への対応や取引の正当性を証明するために欠かせません。ここでは、請求書保管の基本と重要性、適切な保管を怠ることで生じるリスクについて解説します。
請求書保管の法的義務と重要性
請求書の保管は、法人税法や会社法など複数の法律で義務付けられています。なぜなら、請求書は企業の収支を証明し、正確な納税額を算出するための根拠となる重要な書類だからです。
税務調査では、調査官が帳簿と請求書などの証憑書類を照合し、計上された経費の妥当性や取引の真実性を確認します。この際に保管義務のある請求書を提示できなければ、その経費の存在を証明できません。法令を遵守し、企業の信頼性を担保する上で、請求書の適切な保管は極めて重要といえるでしょう。
請求書が持つ役割と証拠能力
請求書は、企業活動において主に2つの役割を持ちます。一つは「取引の事実を証明する」役割です。請求書には、取引年月日、取引先、取引内容、金額などが明記されており、当事者間でどのような取引があったかを客観的に示す法的な証拠となります。
もう一つは「税務上の証拠書類」としての役割です。特に消費税の仕入税額控除を受けるためには、原則として請求書等の保存が法律上の要件とされています。このように、請求書は単なる金銭授受の記録ではなく、法的な証拠能力を持つ重要なビジネス文書です。
請求書を保管しなかった場合のリスク
法律で定められた期間、請求書を保管しなかった場合、企業はさまざまな不利益を被るリスクに直面します。
もっとも大きなリスクは「税務上のペナルティ」です。税務調査で請求書の提示ができないと、その取引にかかった費用が経費として認められなかったり、仕入税額控除が否認されたりする可能性があります。結果として、本来より多額の税金を納めることになる上、追徴課税や延滞税、過少申告加算税といったペナルティが発生します。
また、青色申告の承認を受けている場合、その承認が取り消されるケースも珍しくありません。承認が取り消されれば、欠損金の繰越控除といった税制上の優遇措置が受けられなくなります。さらに、会社法上の義務違反として過料が科される可能性も否定できません。
02請求書の保管期間は法律でどう定められている?
請求書の保管期間は、法人か個人事業主かによって異なり、関連する法律によっても定めが異なります。ここでは、法人税法、会社法、消費税法に分け、それぞれの保管期間を見てみましょう。
法人税法における保管期間
法人税法では、帳簿書類の保管期間が「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間」と定められています。請求書は、ここでいう「書類」に該当します。
例えば、3月31日決算の法人の場合、確定申告の期限は通常5月31日です。したがって、保管期間の起算日は翌日の6月1日となり、そこから7年間保管しなければなりません。
ただし、青色申告法人で事業年度に欠損金(赤字)が生じた場合、その欠損金を翌年度以降に繰り越して所得と相殺が可能です。この繰越控除を適用する事業年度の帳簿書類は、保管期間が10年間に延長されます。
会社法における保管期間
会社法では、「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」を10年間保存することが義務付けられています。請求書は、この「事業に関する重要な資料」に含まれると解釈するのが一般的です。
会社法における保管期間の起算点は「会計帳簿の閉鎖のとき」と定められていて、法人税法とは起算点が異なるものの、法人は両方の法律を遵守する義務があります。
そのため、より長い期間が定められている会社法の10年間に合わせて保管しておけば、2つの法律の要件を確実に満たすことが可能です。実務上は、多くの企業で請求書の保管期間を一律10年として運用しています。
消費税法における保管期間
消費税法では、課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるための要件として、帳簿および請求書等の保存を義務付けています。この保存期間は「課税期間の末日の翌日から2カ月を経過した日から7年間」です。
起算日の表現が複雑ですが、法人税法と同じく確定申告の提出期限の翌日から7年間と理解しておけば問題ありません。仕入税額控除は消費税の納税額を大きく左右するため、その根拠となる請求書の適切な保存は必須です。
03インボイス制度導入による請求書保管の変更点
2023年10月に開始されたインボイス制度は、請求書の記載事項や業務フローに大きな影響を与えました。ただし、請求書の保管期間自体に変更はありません。重要なのは、仕入税額控除を受けるには、法律上の要件を満たした「適格請求書(インボイス)」を正しく保管することが必須となった点です。
適格請求書(インボイス)の定義と要件
適格請求書(インボイス)とは、売り手が買い手に対し、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための書類を指します。買い手側が仕入税額控除を適用するためには、原則としてこのインボイスの保存が必要です。
インボイスとして法的に認められるためには、従来の請求書の記載事項に加え、次の3項目の記載が求められます。
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 適用税率(8%または10%)
- 税率ごとに区分した消費税額等
これらの要件を満たしていない請求書の場合、買い手は仕入税額控除を受けられず、結果として税負担が増える可能性があります。
インボイス制度導入後の保管義務と期間
インボイス制度導入後も、請求書の保管期間に関するルールは基本的に同じです。買い手側(受領者)は、仕入税額控除の適用を受けるため、受け取ったインボイスを7年間保存しなくてはなりません。この期間は、課税期間の末日の翌日から2カ月を経過した日から起算します。
一方、売り手側(発行者)も、交付したインボイスの写しの保存義務の期間は7年間です。なお、この写しは必ずしも紙のコピーである必要はなく、電子データでの保存も認められています。
従来の請求書との併存と管理の注意点
インボイス制度の開始後も、すべての事業者がインボイスを発行するわけではありません。免税事業者や、登録を選択しなかった課税事業者からは、引き続き従来の請求書が発行されます。
そのため、経理部門では、インボイスとそれ以外の請求書が混在する状況に対応しなければなりません。仕入税額控除の可否を正確に判断し、会計処理を適切に行うためには、受け取った請求書がインボイスか否かを明確に区別して管理する体制の構築が重要です。具体的には、ファイルや保存フォルダを分ける、会計システム上で識別フラグを立てるなどの工夫が求められます。
04請求書の電子化と電子帳簿保存法
請求書保管を適切に行う上で、電子帳簿保存法への対応は必ず把握しておかなければなりません。ここでは、電子帳簿保存法の概要、2022年改正のポイントを見た上で、請求書電子化のメリット・デメリット、電子化された請求書の保存について解説します。
電子帳簿保存法の概要と2022年改正のポイント
電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿書類を電子データで保存することを認める法律です。この法律は、大きく3つの保存区分から成り立っています。
1. 電子帳簿等保存
会計ソフトで作成した帳簿などを、電子データのまま保存する方法
2. スキャナ保存
紙で受け取った請求書などをスキャンし、画像データで保存する方法
3. 電子取引データ保存
メール添付やWebサイトからダウンロードした請求書などを、電子データのまま保存する方法
この中でもっとも重要なのが「電子取引データ保存」です。2022年の法改正により、電子データで授受した取引情報は、紙に出力しての保存ではなく、電子データのまま保存することがすべての事業者に義務付けられました。2年間の宥恕期間がありましたが、2024年1月からはこのルールが完全適用されています。
請求書の電子化によるメリットとデメリット
請求書を電子化し、データとして一元管理することの主なメリットは次の3点です。
1. コスト削減
紙代、印刷費、郵送費はもちろん、書類を保管するためのキャビネットや倉庫といった物理的なスペースにかかる費用も削減できます
2. 業務効率化
請求書の作成、送付、検索、管理といった一連の作業がパソコン上で完結し、時間と手間を大幅に削減可能です
3. セキュリティ強化
アクセス権限の設定やバックアップにより、紛失、盗難、情報漏えいのリスクを低減できます
一方で、デメリットも考慮しなければなりません。具体的には、システム導入時にかかる初期費用や月額利用料、新しい業務フローを構築し、社内に定着させるための教育やマニュアル整備など、手間とコストがかかる点です。
電子化された請求書の保存要件と注意点
電子データを保存する際は、電子帳簿保存法の定める要件を満たすことが求められます。特に「電子取引データ保存」では、次に挙げる2つの要件を満たさなければなりません。
1. 真実性の確保
データの改ざんを防止するための措置です。具体的な手段としては、タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムを利用する、あるいは改ざん防止のための事務処理規程を定めて運用するなどが挙げられます
2. 可視性の確保
税務調査で求められた際、すぐにデータを見られるようにする措置です。パソコンやディスプレイなどを備え付け、データを明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておかなければなりません。また、「取引年月日」「取引金額」「取引先」での検索機能を確保することも要件の一つです
05請求書の適切な保管方法と管理体制
請求書を適切に保管するためには、紙と電子、それぞれの媒体の特性に合わせた管理方法と、全社的なルールに基づいた管理体制の構築が欠かせません。ここでは、紙の請求書と電子請求書、それぞれの管理方法と適切なルーツの策定について解説します。
紙の請求書の物理的な保管方法
紙の請求書を保管する際は、後から誰でも必要な情報をすぐに見つけ出せるように整理しなくてはなりません。具体的な方法としては、まず、取引先別や月別といった、自社の業務に合ったルールで分類します。その上で、ファイルボックスやバインダーにまとめ、背表紙に「2025年6月分 請求書」のようにラベリングするとよいでしょう。
保管場所は、キャビネットや書庫など、施錠ができて関係者以外が容易にアクセスできない場所を選びます。湿気や直射日光は紙の劣化を早めるため、保管環境にも配慮が必要です。法律で定められた長期間の保管に耐えられるよう、丈夫なファイルや保存箱を使用することをおすすめします。
電子請求書のデータ管理方法
電子データで請求書を管理する場合、電子帳簿保存法の要件を満たすことが大前提となります。その上で、効率的な管理方法を検討しましょう。
基本はファイル名の付け方に統一したルールを設けることです。「20250619_株式会社ABC_110000」のように、「取引日付_取引先名_金額」といった規則性を持たせることで、検索性が格段に向上します。保存先は、社内のファイルサーバーや、セキュリティレベルの高いクラウドストレージが一般的です。データの消失リスクに備え、定期的なバックアップは必ず実施してください。
請求書管理体制の構築と運用
効果的な請求書管理を実現するためのポイントは、全社で統一されたルールを定め、それを運用する体制の高構築です。請求書の受領からファイリング、保管、そして最終的な廃棄に至るまでの業務フローを明確に文書化し、社内規程として整備します。
この規程には、紙と電子データの両方の取り扱い方法を明記し、全従業員に周知徹底することが重要です。また、保管期間が過ぎた請求書の廃棄ルールも定めておきましょう。定期的に対象書類を確認し、シュレッダー処理やデータ削除を行うことで、不要な情報を持ち続けるリスクを減らすことができます。
06請求書管理の効率化とDX推進
請求書管理の効率化は、経理業務の効率化につながるだけではなく、月次決算が可能になるため、企業全体の効率化や生産性向上も可能です。ここでは改めて現状の請求書管理の課題点を見た上で、効率的な管理を実現するためのポイントを解説します。
請求書業務における課題と非効率性の要因
紙ベースで請求書業務を行う際の課題は、多くの手間と人件費がかかる点です。請求書の郵送だけでも、印刷、押印、封入、郵送といった一連のプロセスが必要になります。また、手作業による入力ミスや、承認プロセスの遅延、書類の紛失といったヒューマンエラーのリスクも常に伴うでしょう。
さらに、受け取った請求書の支払い処理においても、振込作業や会計システムへの入力など、手作業に頼る部分が多く残っています。こうした非効率性は、経理部門の負担を増大させ、月次決算の遅れなど、経営全体に影響を及ぼす大きな要因です。
請求書管理システム導入による業務改善
紙ベースで請求書管理を行う多くの課題は、請求書管理システムの導入により解決する可能性が高まります。請求書の発行から送付までを自動化できるため、作業時間とコストの大幅な削減が可能です。受け取った請求書についても、AI-OCR機能でデータ化し、会計システムと連携させることで、入力作業や仕訳作業の自動化が図れます。
また、システム上で承認ワークフローを構築すれば、進捗状況が可視化され、承認の遅延を防ぐことも可能です。データは一元管理されるため、過去の請求書の検索も容易になり、税務調査や監査への対応もスムーズになるでしょう。
請求書業務のDX推進に「クロスビリング」がおすすめの理由
請求書業務のDXをさらに一歩進め、経営基盤の強化まで実現したい企業には、株式会社クロスチェックが提供する「クロスビリング」がおすすめです。
クロスビリングは、単なる業務効率化ツールではありません。請求書の支払いに関する業務をワンストップで代行します。これにより、担当者は支払い業務から解放され、より付加価値の高いコア業務に集中することが可能です。
法改正への対応はもちろん、企業のキャッシュフローを安定させ、持続的な成長を財務面から力強くサポートするパートナーといえるでしょう。
07法改正に対応し、効率的な請求書管理を
請求書の保管期間は法人で原則7年、個人事業主で5年が法律上の基本です。しかし、法人が欠損金の繰越控除を適用する場合には10年間の保管が求められます。さらに、インボイス制度への対応に加え、2024年からは電子取引データ保存の義務化も始まりました。これらの法改正により、請求書管理はより複雑化し、適切なデジタル管理の重要性はかつてなく高まっています。
法令を遵守しつつ、日々の業務効率を向上させることは多くの企業にとって大きな課題です。手作業による管理は、人的ミスや非効率性を生むだけでなく、担当者の負担を増大させます。こうした課題を解決し、企業が本来のコア業務に集中するためには、専門的なシステムの活用が有効な選択肢となります。請求書管理のDXは、単なるコスト削減にとどまりません。それは企業の生産性を高め、経営基盤を強化するための戦略的な一手といえるのです。 請求書管理の煩雑さから解放され、支払い業務の効率化と財務の安定化を同時に実現させたい担当者の方は、豊富な実績を持つ「クロスビリング」の活用をぜひご検討ください。
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