請求書と領収書の違いとは?役割からインボイス制度での扱いまでを解説
企業活動において、請求書と領収書は取引の根幹をなす重要な書類です。両者は頻繁に扱われるものの、その役割や法的な位置づけには明確な違いがあります。この違いを正しく理解していないと、経費精算の不備や税務上の問題につながる可能性が高くなります。 本記事では、請求書と領収書の基本的な違いから、それぞれの書類が持つ役割、発行・受領時の注意点、さらにはインボイス制度や電子帳簿保存法との関連性まで、網羅的に解説します。企業の経理担当者の方はぜひ、参考にしてください。

01請求書と領収書の基本的な違いを理解する
請求書と領収書は、どちらもビジネスにおける取引を証明する書類です。しかし、発行されるタイミングや役割には違いがあります。基本的に、請求書は商品やサービスの対価を請求する目的、領収書は代金の受領を証明する目的で発行されるものです。
ここでは、それぞれの書類が持つ役割や記載事項、発行のタイミングについて解説します。
請求書の役割と目的
請求書は、商品やサービスを提供した側が、その対価として代金の支払いを求めるために発行する書類です。請求書を発行することで、支払うべき金額や振込先、支払期限などを取引先に明確に伝えられます。
債権の証明も請求書が持つ重要な役割の一つで、支払いが滞った際、取引があった事実や請求内容を証明する重要な証拠となる書類です。例えば、民事訴訟を起こす場合や内容証明郵便を送付する場合などにも、請求書が取引の正当性を示す重要な根拠資料となります。また、請求書に記載された支払期限は、取引相手に支払いを促す法的な根拠にもなり得ます。
領収書の役割と目的
領収書は、代金を受け取ったことを証明する目的で発行される書類です。商品やサービスの代金を支払った側は、代金を支払った事実を証明する証拠として領収書を受け取ります。
領収書は経費精算を行う際に、支払いの事実を証明する証憑(しょうひょう)として使用されるのが一般的です。また、二重請求の防止も大きな役割の一つです。
企業会計では、経費として計上するため、領収書やレシートといった証憑の保存が義務付けられています。税務調査が入った際には、領収書が正しく経費計上されていることを証明する重要な資料となります。
役割・発行タイミング・記載事項の比較
請求書と領収書は、その役割や発行タイミング、法的な位置づけが異なります。それぞれの違いは次のとおりです。
- 役割
請求書は債権の証明、領収書は債務の弁済(支払いの証明)
- 発行タイミング
請求書は代金請求時、領収書は代金受領時
- 必須記載事項
請求書は請求元と請求先の情報、取引内容、金額、支払期限など。領収書は発行日、宛名、金額、発行元、但し書きなど
請求書は取引の始まりに発行されることが多く、領収書は取引の終わりに発行されるという違いがあります。どちらも取引を証明する重要な書類ですが、目的が異なるため、混同しないように注意が必要です。
02【ケース別】請求書と領収書の代用や併用は可能か
請求書と領収書は、それぞれ異なる役割を持つ書類です。特定の条件下では、一方をもう一方の代わりとして使用できる場合があります。ここでは、どのようなケースで代用が可能なのか、また経理処理上の証憑としてどのように扱われるかを見てみましょう。
請求書は領収書の代わりになるのか
請求書は、原則として領収書の代わりにはならないと考えられています。請求書はあくまで「代金を請求する」ための書類であり、「代金を受け取った」という事実を証明するものではないためです。
しかし、支払いの証拠として請求書を扱うケースも存在します。例えば、銀行振込で代金を支払った場合です。この場合、振込明細書が支払いの証明となり、振込明細書と請求書を組み合わせて保管すると、領収書がなくても支払いの事実を証明できる可能性が高くなります。
また、クレジットカードで支払いをした場合、利用明細が支払いの証拠となります。振込明細書やクレジットカードの利用明細書は、金融機関が発行する公式な書類であるため、領収書と同様に経費精算の証憑として認められるケースも少なくありません。
領収書が請求書の代わりになる場合とは
請求書は、提供した商品やサービス、数量、単価などを明記し、支払いを求めるための書類であり、領収書が請求書の代わりになることは非常にまれです。一方、領収書は代金の受領を証明するものであり、詳細な取引内容が記載されていないケースも多く見られます。
小売店で商品購入をする際、代金と引き換えに商品を受け取るような取引では、領収書を請求書と兼ねることも考えられるものの、あくまで例外的なケースです。企業間取引で後日まとめて代金を支払うような取引では、領収書だけでは取引内容や支払い条件を証明する根拠として不十分なため、請求書を別途発行するのが一般的といえます。
二重発行のリスクと注意点
請求書や領収書の二重発行は、企業間トラブルにつながるリスクがあります。よくあるのが経費精算の場面で、取引先が誤って二重に経費計上してしまうケースです。これにより、相手方の税務処理に不備が生じたり、自社と取引先の間で信頼関係が損なわれたりするリスクが考えられます。二重発行を避けるには、次に挙げる3点の徹底が欠かせません。
- 再発行時のルールを明確にする
領収書を紛失したなどの理由で再発行を依頼された場合、安易に応じないよう注意してください。発行する際には「再発行」と明記した上で、元の領収書が無効であることを記載し、発行回数を記録するなど、厳格なルールを設けて運用する必要があります。
- 電子化を推進する
紙の書類は紛失や破損のリスクが高く、再発行の依頼が発生しやすくなります。電子取引の活用や、PDF形式での書類送付を基本とすれば、紛失のリスクを減らせるでしょう。
- 書類の控えを保管する
発行した請求書や領収書の控えを確実に保管し、いつ、誰に、どの書類を発行したかを記録に残しておくことが、トラブル防止につながります。
03法制度から見る請求書と領収書の重要性
インボイス制度や電子帳簿保存法といった近年の法改正は、請求書と領収書の扱いに大きな影響を与えています。法制度は、適正な税務処理と経理業務のデジタル化を推進するために導入されました。ここでは、それぞれの法制度が請求書と領収書にどのように関わってくるかを解説します。また、請求書や領収書を発行する際に欠かせない収入印紙についても見てみましょう。
インボイス制度における請求書と領収書の扱い
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月から開始された消費税の仕入税額控除の新しい方式です。この制度では、消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書の保存が必須となりました。
適格請求書は、一定の記載事項を満たした請求書のことです。具体的には、次の項目をすべて記載する必要があります。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨の記載)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
この制度は、請求書だけでなく領収書にも適用されます。例えば、小売業や飲食店のように不特定多数の者に対して取引を行う場合は、領収書を適格請求書として発行が可能です。この場合の領収書を簡易インボイス(適格簡易請求書)と呼びます。
簡易インボイスには、次の項目の記載が必要です。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨の記載)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額
- 税率ごとに区分した消費税額等
簡易インボイスは従来の領収書と比較すると、登録番号や消費税額の記載が追加されています。インボイス制度では、請求書も領収書も、消費税の仕入税額控除を受けるための重要な証憑となるため、記載内容を正しく理解し、適切な発行・保存が必要です。
電子帳簿保存法と書類の保管方法
電子帳簿保存法は、帳簿や国税関係書類を電子的に保存することを認める法律です。2022年1月の法改正により、要件が大幅に緩和され、より多くの企業が電子化を進めやすくなりました。
請求書や領収書といった書類は、次のとおり3つの区分に分けられます。
- 国税関係帳簿
仕訳帳や総勘定元帳など
- 国税関係書類
貸借対照表や損益計算書など
- 電子取引情報
インターネットなどを介して電子的にやり取りされた取引情報
このうち、電子的にやり取りされた請求書や領収書は、電子帳簿保存法の「電子取引」にあたります。2024年1月からは、電子取引で受け取った請求書や領収書は、紙に出力して保存することが原則として認められず、電子データのまま保存することが義務化されました。
なお、電子保存には、次の要件を満たす必要があります。
- 真実性の確保
訂正や削除の履歴が残るシステムで保存する、または改ざん防止の事務処理規定を設けるなど
- 可視性の確保
「日付・金額・取引先」で検索できる状態にするなど
請求書や領収書を電子的にやり取りする機会が増える中、電子帳簿保存法に沿った適切な保存体制を構築することが重要です。
収入印紙の要否とその基準
請求書や領収書に収入印紙を貼付する必要があるのは、領収書の場合です。印紙税法では、金銭の受領事実を証明するために作成される領収書を「金銭または有価証券の受取書」として扱っており、これに印紙税が課されます。
請求書や領収書で収入印紙を貼付する必要がある場合の金額(印紙税)は次のとおりです。
| 領収書の受取金額 | 収入印紙の金額 |
| 5万円未満 | 0円(非課税) |
| 5万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 600円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 2,000円 |
| 1,000万円超2,000万円以下 | 4,000円 |
| 2,000万円超3,000万円以下 | 6,000円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 20,000円 |
| 1億円超2億円以下 | 40,000円 |
| 2億円超3億円以下 | 60,000円 |
| 3億円超5億円以下 | 100,000円 |
| 5億円超10億円以下 | 150,000円 |
| 10億円超 | 200,000円 |
※2025年9月30日現在
この金額は税抜きの金額ではなく、税込の金額で判断します。ただし、記載された金額が税抜きであることが明確な場合は、税抜き金額で判断してもかまいません。
なお、電子データとしてやり取りされる書類には、印紙税がかからないという特徴があります。印紙税法では、印紙税の課税対象となる書類を「文書」と定めています。この「文書」は紙媒体で作成されることを前提としており、電子データとして作成・交付される書類は課税対象外です。
そのため、PDF形式で作成した領収書をメールで送付する場合や、クラウドサービス上で請求書や領収書を発行・受領する場合、たとえ取引金額が5万円以上であっても、収入印紙を貼付する必要はありません。この点は、電子取引が普及する中で、多くの企業がコスト削減や業務効率化に役立てているメリットの一つです。
04請求書・領収書業務を効率化するには
請求書や領収書の作成・発行、受領、保管といった一連の業務は、多くの企業にとって大きな負担となっています。特に紙媒体でのやり取りが多い場合、郵送やファイリングに多くの時間とコストがかかるため、業務の効率化には、デジタルツールの活用が有効です。
請求書・領収書業務における課題
紙媒体での請求書・領収書業務には、次のような課題があります。
- 手作業によるミス
金額の入力ミスや宛名の誤りなど、手作業によるヒューマンエラーが発生しやすいです。
- 郵送コストと手間
法律で定められた期間、紙の書類を保存する必要があるため、ファイリングや保管スペースの確保が求められます。
- 検索性の低さ
過去の書類を探す際、膨大な量のファイルの中から手作業で探す必要があり、多くの時間がかかります。
- リモートワークへの対応の難しさ
紙の書類は物理的な場所にあるため、テレワークで業務を行うのが困難になります。
こうした課題は、企業の生産性を低下させる要因となるでしょう。経理担当者が本来の業務である経営分析や予算管理などに十分な時間を割けなくなり、企業の成長を阻害する可能性もあります。
請求書発行・受領システムの導入メリット
請求書発行・受領システムを導入すると、紙媒体での課題を解決し、業務を大幅に効率化できます。
- 業務の自動化
請求書の作成から送付、入金管理までをシステム上で自動化できます。これにより、手作業によるミスを減らし、業務時間を大幅に短縮できるでしょう。
- コスト削減
郵送コストや印刷代、人件費などを削減できます。
- 保管スペースの削減
電子データとして保存するため、物理的な保管スペースが不要になります。
- 検索性の向上
システム上で「日付」「金額」「取引先」などを検索条件として入力すれば、必要な書類を瞬時に見つけられます。
- リモートワークへの対応
インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできるため、リモートワークでもスムーズに業務を進められます。
- 法改正への対応
多くのシステムは、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しています。法令に沿った適切な書類管理が可能です。
請求書支払い代行サービスの活用もおすすめ
請求書支払い代行サービス「クロスビリング」は、請求書業務を効率化するためのサービスです。特に、複数の取引先から届く請求書の管理を簡素化できるのが特徴で、主な機能として次の3つが挙げられます。
- 請求書おまとめ
紙や電子、メールなど、さまざまな形式で届く請求書をクロスビリングがおまとめし、1枚の請求書として月1回、お客様にお送りします。これにより、請求書の管理の手間を大幅に削減できます。
- 支払代行
各社からの請求に対しては、クロスビリングがお支払いを代行します。お客様は、月1回クロスビリングにまとめて支払うだけで、月の支払業務が完了します。
- 請求書明細入力代行
データや紙、はがきなど、バラバラのフォーマットで届く請求書を、クロスビリングがデータ化して整理します。完全オーダーメイドの帳票作成もお任せいただけます。
さらに、クロスビリングは、現在ご利用の会計処理ソフトに合わせて連携可能な仕訳帳票(CSV/Excel)の作成も可能です。そして、請求書の電子化と原本の保管もご要望に応じて対応いたします。これにより、経理担当者の作業負担をさらに軽減できるでしょう。
05請求書と領収書の違いを理解し、業務効率化へ
請求書と領収書は、それぞれ異なる役割を持つ重要な書類です。請求書は代金の請求を、領収書は代金の受領を証明します。これらの違いを正しく理解し、適切に扱うことは、経理業務を円滑に進める上で不可欠です。
インボイス制度や電子帳簿保存法といった法改正により、請求書や領収書に求められる要件は複雑化しています。特に、電子取引における書類の保存方法には注意が必要です。
しかし、法改正は、業務のデジタル化を推進する機会でもあります。請求書発行・受領システムや受領代行サービスを活用すれば、手作業による非効率な業務を改善し、コスト削減や生産性向上を実現できるでしょう。もし、請求書管理業務に課題を抱えているなら、ぜひクロスビリングの導入もご検討ください。
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