源泉徴収票はいつもらえる?記載内容の見方や必要となるタイミングについて解説
転職をしたときや確定申告の際など、源泉徴収票が必要となるケースがあります。
しかし、源泉徴収票をしっかりと保管していないと、いざ必要になったときの対応に困る場合もあるでしょう。
そのため、源泉徴収票はいつもらえるのか、発行されるタイミングを把握し、適切に保管しておくことが大切です。
では、源泉徴収票はいつ発行され、いつ必要となるのでしょうか。
そこで本記事では、源泉徴収票の概要から、発行されるタイミング、記載内容の見方、必要となるシーンまで、分かりやすく解説します。
源泉徴収票について詳しく知りたい方、今後のために知識をつけておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

01源泉徴収票とは
まずは、源泉徴収票は何のために発行されるのか、源泉徴収票の役割から確認していきましょう。
源泉徴収票の役割
企業は、従業員の給与から所得税を天引きし、従業員に代わって国に納付しなければならない義務があり、この制度を「源泉徴収」といいます。毎月の給与や賞与から所得税が差し引かれているのは、源泉徴収義務があるためです。
源泉徴収票とは、1年間に会社から従業員に支払われた給与の額や、給与から天引きされた所得税や社会保険料などの額が記載された書類のことで、従業員に源泉徴収の結果を知らせる役割があります。
源泉徴収票の種類
源泉徴収票には「給与所得についてのもの」「退職所得に関するもの」「公的年金に関するもの」の3種類があります。
・給与所得の源泉徴収票
給与所得の源泉徴収票に記載されているのは、1年間に会社から支給された給与や賞与などの支給総額、天引きされた所得税額、給与所得控除後の金額などです。
給与所得の源泉徴収票が発行されるのは、正社員だけではありません。源泉徴収がなされている契約社員やアルバイト、パートの方にも源泉徴収票は発行されます。また、派遣社員として働いている方の場合は、派遣元の会社から源泉徴収票が交付されます。
・退職所得の源泉徴収票
退職所得の源泉徴収票は、退職金等を受け取った会社員に発行される書類です。退職金についても源泉徴収義務があり、退職所得の源泉徴収票には、退職金の支払い額や源泉徴収された所得税の額、特別徴収された市町村民税・都道府県民税の額、勤続年数などが記載されています。
・公的年金等の源泉徴収票
公的年金の源泉徴収票は、公的年金を受給している方に対して交付されるもので、1年間に支給された年金総額や、源泉徴収された所得税額などが記載されています。ただし、障害年金や遺族年金に関しては所得税が課されないため、これらの年金受給者に源泉徴収票が発行されることはありません。
02源泉徴収票はいつもらえる?
源泉徴収票には3つの種類があることをご紹介しましたが、源泉徴収票が交付されるタイミングは、状況に応じて変わってきます。具体的に源泉徴収票が交付されるのは、次のようなタイミングです。
年末調整後
給与所得の源泉徴収票は、1年間の給与所得額が確定する年末調整後に発行されます。年末調整とは、源泉徴収した所得税の額と、本来納めるべき所得税の額を精算する手続きのことです。
所得税は、1年間の総所得に対して課される税金ですが、1年間の総所得額は12月の給与が決定してからでないと算出できません。そのため、源泉徴収時には源泉徴収税額表に基づき、支給する給与や賞与の額に応じた所得税額を天引きし、概算の所得税額を納税しています。正しい額の所得税を納税するためには、12月の給与が確定した段階で源泉徴収をした「所得税額」との差額を調整しなければなりません。
正しい所得税額の計算が終わるタイミングが年末調整であるため、給与所得の源泉徴収票については、年末調整後に発行されることになります。また、給与所得の源泉徴収票は、翌年の1月31日までに交付しなければならないというルールもあるため、多くの企業では12月の給与明細と一緒に源泉徴収票も交付しています。
企業では、年末調整が終了すると従業員には源泉徴収票を、従業員が居住している市区町村には給与支払報告書を提出します。給与支払報告書については、以下の記事で詳しく説明していますので、ご一読ください。
【関連記事】給与支払報告書とは?書き方や提出方法、作成時の注意点を分かりやすく解説
退職後
源泉徴収票の発行は、退職後となるケースもあります。年の途中で退職をした場合、給与所得の源泉徴収票は、原則として退職から1カ月以内に発行されます。また、退職時に退職金が支給される場合も、退職金の源泉徴収票が発行されるのは、退職から1カ月以内です。
公的年金の源泉徴収票は1月
公的年金の源泉徴収票は、1月中旬ごろに交付されます。給与所得の源泉徴収票と退職所得の源泉徴収票については、雇用主である企業から発行されますが、公的年金の源泉徴収票の交付元は日本年金機構です。なお、源泉徴収票はハガキで交付されますが、マイナポータル上において電子データで受け取る方法を選択できます。
03源泉徴収票はいつ必要になる?
源泉徴収票は、それぞれで発行されるタイミングが異なります。それでは、源泉徴収票はどのようなときに必要となるのでしょうか。ここでは、源泉徴収票が必要となる主なシーンをご紹介します。
転職をした場合
年の途中で退職し、別の企業に転職をした場合、転職先からは源泉徴収票の提出が求められます。ただし、年末調整を複数の会社で行うことはできません。そのため、転職をした場合は、12月時点で在籍している会社で年末調整を受けることになります。転職先では、前職の収入と源泉徴収額を合算した上で年末調整をし、1年間の所得額と所得税額を確定させます。転職先に源泉徴収票を提出しない場合、転職先では年末調整を行えないため、自分で確定申告を行わなければならない点に注意が必要です。
確定申告をするとき
確定申告の際には、源泉徴収票が必要になります。給与所得者の場合、年末調整を受けるため、原則として確定申告をする必要はありません。しかし、以下のようなケースでは、確定申告が必要です。
・年収が2,000万円を超える場合
給与所得者でも、年収が2,000万円を超える場合は、年末調整の対象から外れるため、自分で確定申告を行わなければなりません。なお、確定申告の際には源泉徴収票が必要です。
・2カ所以上から給与を受け取っている場合
2カ所以上から給与を受け取っており、年末調整を受けていない会社から得ている給与や、その他の所得の合計額が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
・副業をしている場合
副業としてフリーランスの仕事をしている人や、不動産投資などをしている方の場合、給与所得以外に年間20万円を超える所得を得ているならば、確定申告をしなければなりません。
・住宅ローンの契約をした場合
住宅ローンを利用して、マイホームの新築や取得、増築などをした場合、一定の要件を満たすことで所得税の減税を受けられます。この制度を住宅ローン控除といい、住宅ローン控除を受けるためには、入居した年の翌年に確定申告をしなければなりません。
・寄附をした場合
公益性の高い法人に寄附をした場合、寄附金控除の対象となり、税金の負担額を軽減できる仕組みがあります。しかし、年末調整では寄附金控除の手続きができないため、寄附金控除を受ける場合は、確定申告を行わなければなりません。
収入証明が必要になるとき
住宅ローンの申し込みをする際や、賃貸物件を契約する際などには、借入をする人の返済能力や家賃支払い能力を審査するため、収入証明書の提出が必要となります。源泉徴収票は、1年間の収入額を証明する書類であることから、収入証明として源泉徴収票の提出が求められるケースがあります。
04源泉徴収票の記載内容の見方
源泉徴収票には、1年間の給与総額や、源泉徴収された所得税額等が記載されています。ここでは、源泉徴収票を受け取ったときに必ず確認しておきたい4つのポイントをご紹介します。
支払金額とは
源泉徴収票の氏名欄の下には「支払金額」の項目があります。支払金額とは、源泉徴収票を発行した会社が1年間に支払った給与や賞与、手当などの総額のことです。実際に給与や賞与として受け取る額は、所得税・住民税・社会保険料などが差し引かれていますが、支払金額にはこれらを差し引く前の金額が記載されています。ただし、手当の中でも通勤手当といった非課税のものについては、支払金額には含まれていません。
給与所得控除後の金額とは
「給与所得控除後の金額」には、支払われた金額から給与所得控除を差し引いた額が記載されています。個人事業主の場合、事業に必要となった経費は、収入から差し引くことが可能です。しかし、会社員の場合は、原則として確定申告を行うことはないため、経費を収入から控除できません。そのため、税負担の公平性を保つ目的で年収に応じて、一定額を控除する給与所得控除が設けられています。給与収入から給与所得控除を引いた金額が「給与所得」ということです。
2025年度税制改正により、給与所得控除の額も変更されています。2025年分以降の給与所得控除額は、以下のとおりです。
| 給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
| 1,900,000円まで | 650,000円 |
| 1,900,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
参照元:国税庁「No.1410給与所得控除」
所得控除の合計額とは
「所得控除の額の合計額」とは、給与所得から差し引くことができる所得控除額の合計額です。所得控除には、次のようなものがあります。
・基礎控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・特定親族特別控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・医療費控除
・雑損控除
源泉徴収税額とは
「源泉徴収税額」は、1年間の所得に対して課された所得税の額です。
所得税の課税対象となる所得は、給与所得控除後の金額から所得控除額の合計額を差し引いた金額です。また、源泉徴収税額は、課税所得に所得額に応じた税率をかけ、一定の控除額を差し引くことで算出します。
05源泉徴収票に関する注意点
源泉徴収票は、転職をした場合や確定申告をする際などに必要となります。しかし、源泉徴収票を紛失してしまうと、対応に困るケースがでてきます。ここでは、源泉徴収票が手元にない場合の対処法をご紹介します。
紛失時には余裕をもって再発行の請求を
源泉徴収票を紛失した場合は、会社に対して再発行の依頼が可能です。たとえ退職した会社であっても、依頼をすれば再発行に応じてもらえるでしょう。
ただし、源泉徴収票の発行には時間がかかることもあります。源泉徴収票が必要となった場合は、余裕をもって再発行を依頼することが大切です。
前職の勤務先から源泉徴収票が発行されない場合
企業には、源泉徴収票の発行義務があります。そのため、退職から1カ月以内に源泉徴収票を発行しなければなりません。退職から1カ月が経っても源泉徴収票が交付されない場合は、担当者に連絡を取り、発行を依頼しましょう。
万が一、交付の依頼をしても源泉徴収票が発行されない場合は、会社の所在地を管轄する税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出し、相談をするようにしてください。税務署から対象の企業に対して、源泉徴収票を発行する旨の行政指導が行われるため、指導後には源泉徴収票が発行されるはずです。
勤務先が倒産した場合の対処法
年末調整を受ける前に勤務先が倒産した場合、源泉徴収票が発行されない可能性があります。この場合は、破産管財人に源泉徴収票の発行を依頼すると、源泉徴収票を発行してもらえる可能性があります。ただし、破産管財人には源泉徴収票の発行義務はないため、源泉徴収票が発行されないケースもあります。その場合は、会社の所在地を管轄する税務署へ、源泉徴収票不交付の届出書を提出の上、相談してみましょう。
06まとめ
源泉徴収票とは、1年間の所得額や源泉徴収額などを証明する書類です。企業は従業員に対し、源泉徴収票を発行する義務があります。給与所得の源泉徴収票は、毎年年末調整が終わる12月以降、退職者には退職から1カ月以内に発行されます。また、退職所得の源泉徴収票については退職から1カ月以内、公的年金の源泉徴収票については毎年1月に交付されることを覚えておきましょう。 また、転職をした場合や確定申告をする際には、源泉徴収票が必要となります。住宅ローンの契約時などの場面でも、収入証明として源泉徴収票の提出が求められるため、源泉徴収票がいつもらえるのかをしっかり把握しておきましょう。そして、交付を受けた後は、適切に保管しておくことが大切です。
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